https://mainichi.jp/articles/20210109/k00/00m/030/032000c
毎日新聞2021年1月9日 10時06分(最終更新 1月9日 10時06分)
乱入事件を受けて周囲にフェンスが設置され州軍部隊が警戒にあたる連邦議会議事堂=米ワシントンで8日、高本耕太撮影
トランプ米大統領(共和党)の支持者が昨年11月の大統領選の結果確認を阻止するため、米連邦議会議事堂に乱入した事件を受け、下院民主党は8日、トランプ氏を弾劾訴追する決議案を作成した。「反乱の扇動」を理由として、即時の弾劾裁判と罷免を求める内容。民主党は11日にも下院に提出するとしている。
下院で決議案が可決されれば、トランプ氏は2019年のウクライナ疑惑を巡る決議に続き米国史上初めて、弾劾訴追を2回される大統領となる。
花束が手向けられた連邦議会議事堂前。6日の乱入事件では5人が死亡した=米ワシントンで8日、高本耕太撮影
5人が死亡した乱入事件が発生した6日は、首都ワシントンでトランプ氏支持者の集会が開催され、トランプ氏は演説で「我々は地滑り的大勝を収めた」と強調。支持者に議会へ行進して、議員らに圧力をかけるよう促していた。決議案はトランプ氏の同日の発言や大統領選結果の「転覆や妨害」を図るこれまでの言動が、反乱を扇動したと指摘。「米国とその統治機構に深刻な危険をもたらした」と非難している。
事件後、民主党下院トップのペロシ議長は、任務を遂行するには不適格と判断された大統領を解任する憲法修正25条の発動をペンス副大統領に要求したが、ペンス氏側に応じる動きはないため、議会手続きによる弾劾・罷免の実現に向けてかじを切った。
下院で過半数を持つ民主党は、司法委員会での審議を省略するなどして早期可決を目指すが、20日の大統領退任まで残り2週間を切るなかで、可決後に上院で弾劾裁判が実施される可能性は低い。それでも民主党が決議を目指すのは、民主主義への挑戦ともいえる乱入事件に関し、政権交代前に責任を明確化する必要があると判断しているからだ。共和党議員の一部にも賛同の声は広がっている。
ペロシ氏は8日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と電話で協議し、精神的に「不安定な状態にある大統領」が任期中に軍事行動や核ミサイル発射を強行する事態を避けるため、予防策を協議した。党所属議員への書簡で明らかにした。「錯乱したこの大統領の状況は極めて危険で、我々は米国民を守るためあらゆる手段を講じなければならない」としている。ミリー氏の報道官も米メディアに「核攻撃命令の権限に関する質問に答えた」と述べた。大統領権限の制限に関する議論が明るみに出るのは異例だ。【ワシントン高本耕太】
毎日新聞2021年1月9日 10時06分(最終更新 1月9日 10時06分)
乱入事件を受けて周囲にフェンスが設置され州軍部隊が警戒にあたる連邦議会議事堂=米ワシントンで8日、高本耕太撮影
トランプ米大統領(共和党)の支持者が昨年11月の大統領選の結果確認を阻止するため、米連邦議会議事堂に乱入した事件を受け、下院民主党は8日、トランプ氏を弾劾訴追する決議案を作成した。「反乱の扇動」を理由として、即時の弾劾裁判と罷免を求める内容。民主党は11日にも下院に提出するとしている。
下院で決議案が可決されれば、トランプ氏は2019年のウクライナ疑惑を巡る決議に続き米国史上初めて、弾劾訴追を2回される大統領となる。
花束が手向けられた連邦議会議事堂前。6日の乱入事件では5人が死亡した=米ワシントンで8日、高本耕太撮影
5人が死亡した乱入事件が発生した6日は、首都ワシントンでトランプ氏支持者の集会が開催され、トランプ氏は演説で「我々は地滑り的大勝を収めた」と強調。支持者に議会へ行進して、議員らに圧力をかけるよう促していた。決議案はトランプ氏の同日の発言や大統領選結果の「転覆や妨害」を図るこれまでの言動が、反乱を扇動したと指摘。「米国とその統治機構に深刻な危険をもたらした」と非難している。
事件後、民主党下院トップのペロシ議長は、任務を遂行するには不適格と判断された大統領を解任する憲法修正25条の発動をペンス副大統領に要求したが、ペンス氏側に応じる動きはないため、議会手続きによる弾劾・罷免の実現に向けてかじを切った。
下院で過半数を持つ民主党は、司法委員会での審議を省略するなどして早期可決を目指すが、20日の大統領退任まで残り2週間を切るなかで、可決後に上院で弾劾裁判が実施される可能性は低い。それでも民主党が決議を目指すのは、民主主義への挑戦ともいえる乱入事件に関し、政権交代前に責任を明確化する必要があると判断しているからだ。共和党議員の一部にも賛同の声は広がっている。
ペロシ氏は8日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と電話で協議し、精神的に「不安定な状態にある大統領」が任期中に軍事行動や核ミサイル発射を強行する事態を避けるため、予防策を協議した。党所属議員への書簡で明らかにした。「錯乱したこの大統領の状況は極めて危険で、我々は米国民を守るためあらゆる手段を講じなければならない」としている。ミリー氏の報道官も米メディアに「核攻撃命令の権限に関する質問に答えた」と述べた。大統領権限の制限に関する議論が明るみに出るのは異例だ。【ワシントン高本耕太】